弁護事件例

2016.06.17 【】

強盗致傷等で起訴され、正犯性を争ったが、懲役8年となった事件

裁判員
否認

事案の紹介

共犯者と共に、路上で女性を車に引きずり込んで暴行を加えた上、キャッシュカードの暗証番号を聞き出して金銭を引き出した事件(強盗致傷、監禁致傷、窃盗)

弁護活動

国選弁護人として担当しました。

依頼者は、一緒に居た共犯者が、自分の冗談を真に受けて本件犯罪行為を突然起こしたものであり、当初から共同して事件を起こすつもりだった訳ではなく、結果的にこれを手伝ったに過ぎないとの説明をしていました。そこで、弁護人は、共同正犯ではなく、幇助犯が成立するに留まるという主張をしました。
また、銀行から引き出したお金について、依頼者自身は一切手を付けていないという主張をしました。

裁判では、共犯者は、依頼者に執拗に誘われて仕方なく犯罪に加担したなど依頼者の説明と食い違う供述をしました。弁護人は、共犯者に犯行動機があることや供述が信用できないことなどを示す反対尋問を行いました。

判決では、幇助犯であるとの主張は受け入れられず、依頼者と共犯者には、明確な役割の違いを認めることはできないとの認定を前提に、依頼者には懲役8年(検察官の求刑は9年)が言い渡されました。
一方、依頼者が引き出した現金に手を付けなかったという主張については、弁護人が調査・収集した預金口座の履歴等の証拠や依頼者の説明から、これを認める認定がなされました。