弁護事件例

2016.05.16 【強盗・恐喝】強盗致傷

共犯者と起こした強盗致傷事件。共犯者の判決とは異なる事実認定がなされ、また、執行猶予が言い渡された事例

裁判員

事案の紹介

依頼者と共犯者が、それぞれ物やお金を盗まれたということで、2人で被害者の行方を捜していたところ、被害者を見つけて車の中で暴行を加え、被害者の携帯電話と現金を奪ったという事件。罪名は、逮捕監禁、強盗致傷。
主たる争点は,①携帯電話について,共謀が認められるか,②現金について,どの時点で強盗しようという気持ちが生じたか、でした。
なお、共犯者の裁判員裁判が先行しており,携帯電話,現金についていずれも強盗の共謀が認められ,逮捕監禁,強盗致傷で懲役4 年の判決が出ていました。

弁護活動

弁護人の主張は、車の中に閉じ込めで暴行を加えたことについての逮捕監禁致傷と現金についての窃盗が成立するとの主張となりました。
法律上強盗致傷かどうかが争点とはなりましたが,弁護人にとっての一番重要な争点は量刑であり, 執行猶予を獲得することが目標でした。
裁判では、共犯者や被害者に対する証人尋問が実施されました。
その中では、なぜ共犯者とは認識が違いうるのかや事件までの経緯の中で被害者の方にどのような問題があったのかが裁判員や裁判官に伝わるよう心がけました。
また、特に、弁論では、「なぜ依頼者と共犯者は同じ車に乗っていたにもかかわらず、依頼者は共犯者が携帯電話を盗んだことに気付かなかったのか」が伝わるよう工夫しました。
裁判員裁判の弁論は、従来の弁護士が行ってきたように主張を書いた書面を読み上げるだけでは伝わりません。市民である裁判員を説得するために、内容にもプレゼンテーションの仕方にも工夫が必要です。
判決では、現金については強盗致傷が成立するとされましたが、携帯電話については共謀を否定されました。そして、量刑は懲役 3 年 執行猶予5 年(求刑5 年)となり、無事、目標をしていた執行猶予判決を得ることができました。