弁護事件例

2016.05.16 【強盗・恐喝】強盗致死

共犯者と起こした強盗致死事件。無期懲役の求刑に対して懲役30年が言い渡された事例

裁判員

事案の紹介

依頼者が詐欺をしている知人からお金を取ってしまうと共犯者に相談したところ,共犯者が被害者を拉致した上で,警棒等で暴行を加えて死亡させてしまった事件。罪名とは,逮捕監禁,営利略取,強盗致死,死体遺棄。起訴された犯罪が成立することは争っていません。

弁護活動

起訴されて裁判の途中から弁護人として選任されました。弁護人として選任された段階で,それまでの進んでいた公判前整理手続の進行を全面的に見直しました。
事件のポイントは,本人は確かに強盗の計画は共犯者と立てたものの,現場には行っておらず,主犯たる共犯者が実行中に暴走して暴行を加えたというものです。強盗致死はとても重い罪(法定刑は死刑又は無期と定められています)ですが,死亡させた者の責任が最も重いはずで,依頼人にはその責任に応じた刑を科すべきだと考えていました。
そのために共犯者全員を法廷で証人尋問し,主犯格が暴走したことを立証しました。
裁判員裁判で審理され,5日間の審理が行われました。
最終弁論では,強盗致死がいかなる犯罪なのか,どのように刑を決めるべきなのかを,市民である裁判員にできる限り分かりやすく伝えるように心がけました。
判決は,こちらが予想していたよりも重い刑でした。こちらの主張自体は認めてくれたものの,やはり強盗致死という犯罪の重さが懲役30年という結果となっていると思います。