弁護事件例

2016.05.16 【薬物事件】覚せい剤密輸

覚せい剤密輸事件の裁判員裁判で,依頼者の言い分が認められ,覚せい剤密輸の故意はないと判断された事例

一部無罪
裁判員
否認

事案の紹介

外国人の依頼者が,友人から,スーツケースに入ったダイヤモンドの原石を日本へ運ぶよう頼まれた。依頼者が,これを引き受けてスーツケースを日本に持ち込んだところ,税関検査でスーツケースから覚せい剤が発見されたという事案。

弁護活動

依頼者が勾留された後,国選事件として受任しました。
依頼者の主張は,当初から,ダイヤモンドの原石を運ぶよう頼まれた,覚せい剤が入っているとは知らなかった,というものでした。
捜査段階では黙秘権を行使していましたが,依頼者は起訴されてしまいました。
依頼者の話を詳しく聞くと,ダイヤモンドの原石を運ぶよう友人から頼まれた際,パソコンのチャットを利用していたことが分かりました。
そこで,依頼者の母国の家族から,大使館を通じてパソコンを送ってもらいました。
実際にチャットの内容を確認すると,依頼者の主張に沿ったやり取りが残されていました。
そのため,パソコンに記録されていたチャットのデータを証拠化して裁判へ提出しました。
公判では,チャットの内容を基礎として,依頼者の説明がしっかりと伝わるよう被告人質問を実施しました。
裁判員裁判の公判でしたが,依頼者の話が,一般の方にもしっかりと伝わっているという実感がありました。
裁判の結果,依頼者の主張が認められ,覚せい剤密輸の故意は認められないとの判断が示されました。
判決後,依頼者は釈放され,数日後に無事に母国に帰国することができました。