弁護事件例

2016.06.26 【】

強制わいせつ致傷,わいせつ目的略取等事件の裁判員裁判で,検察官の懲役8年の求刑に対して懲役4年の判決となった事例

減刑
裁判員

事案の紹介

 依頼人が,路上でわいせつ行為を行ったという強制わいせつ事件や,わいせつ目的で女性をバイクに乗せたというわいせつ目的略取等事件など,複数の性犯罪事件を起こして起訴されたという事案

弁護活動

 国選弁護人として受任しました。
 依頼人は20代前半の若い男性でしたが,未成年の時にも性犯罪等の事件を起こしたことがありました。また,依頼人の両親は離婚しており,幼いころの養育状況にも問題があったようでした。
 そこで,弁護人が,裁判所を通じて依頼人の未成年時の事件に関する家庭裁判所の記録を取り寄せて検討した結果,依頼人に軽度の知的障害があることが判明しました。その情報等を基に,専門家に依頼して,依頼人の知的障害や生育歴と事件との関係について意見を書面にまとめてもらい,裁判に提出しました。
 また,受刑者の支援団体とも連絡を取り,依頼人が受刑した後の支援も約束してもらいました。支援団体の代表の方には,情状証人として裁判に出廷してもらい,依頼人の障害特性も踏まえた支援が可能であることを説明してもらいました。
 審理は,裁判員裁判で行われました。裁判員裁判では,一般的に,性犯罪に対する量刑の傾向が過去よりも重くなっていると言われています。そこで,弁護人は,依頼人の知的障害について主張したほか,過去の量刑傾向を踏まえて依頼人に科すべき刑にも限度があることを主張しました。
 検察官の求刑は,懲役8年と重いものでした。弁護人からは,懲役3年6月にすべきという意見を述べました。その結果,判決では,懲役4年となり,弁護人の主張に近い結論となりました。