弁護事件例

2016.06.26 【放火】非現住建造物等放火

家屋等に連続して放火したことについて懲役8年となった非現住建造物等放火事件

減刑

事案の紹介

1ヶ月ほどの期間中に、ライターを用いて、人の住んでいない家屋、倉庫、粗大ゴミ等に火をつけて全焼させるという放火行為をくり返した事例(非現住建造物等放火2件、器物損壊1件で起訴)。

弁護活動

担当弁護士は、国選弁護人として受任しました。

依頼者は、過去にも、同様の連続放火事件を起こして刑事裁判を受けており、複数回服役したことがありました。
弁護人は、依頼者には責任能力(刑事責任を問うことができる程度の判断能力や自分の行動をコントロールする能力)が十分備わっていないと考え、裁判所に精神鑑定の実施を求めたところ、検察官は反対しましたが、裁判所はこれを採用しました。
鑑定の結果、精神科医は、依頼者には、責任能力は十分に備わっているものの、知的能力が境界域(平均的な水準と軽度の知的障害との間)であるとの意見を述べました。

検察官は、行為の危険性が極めて高いことや、これまでにも同様の犯行を繰り返していること等から、求刑12年という意見でしたが、判決は、依頼者の精神状態や逮捕後に健康状態が悪化していたことなど、弁護人が主張した事情を考慮し、懲役8年となりました。

なお、弁護人は、依頼者の「放火癖」は精神の障がいによるものであり、精神科医の意見を踏まえても、心神耗弱を認めるべきであるとの主張をしましたが、認められませんでした。