事案の紹介
電車内で痴漢を行った犯人と間違われて逮捕され,さらに検察官より身体拘束を継続する勾留が請求された事案
弁護活動
ご依頼者は痴漢行為は行っておらず,冤罪で逮捕されてしまった事案でした。
これに対して,検察官は,痴漢行為を疑い,さらに身体拘束を続けて取調べを行うために,勾留を請求しました。
勾留は,裁判所が勾留を認めるかどうかを判断します。
その判断にあたっては,罪証隠滅や逃亡のおそれがあるかどうか,身体拘束が続くことによる不利益の大きさなどが考慮されます。
犯行を行っていない,犯人ではないと否認していること自体は,罪証隠滅や逃亡のおそれがあると考慮される事情です。
しかし,痴漢冤罪が社会的な問題となる中,痴漢の否認事件であっても検察官が勾留を請求するのに対し,裁判所がこれを認めない事例が増えています。
本件では,勾留を判断する裁判官と面談し,ご依頼者は前科前歴が全くない人であること,処分が決まるまでは痴漢行為があったとされる区間の駅を利用しないこと誓約し,罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを指摘しました。
そして,ちょうど学校卒業のための試験が控えていた時期であり,身体拘束が続けば卒業できなくなってしまうという不利益が大きいことを指摘し,これを表す資料を提出しました。
その結果,裁判官は検察官の勾留請求を却下し,ご依頼者は勾留されずに釈放されました。