弁護事件例

2016.06.17 【窃盗・横領】窃盗

判決後に生活保護を受給できるよう環境調整を行って執行猶予判決となった窃盗事件

執行猶予

事案の紹介

 仕事を失い,経済的に困窮した末に窃盗に及んでしまった依頼人について,裁判終了後に生活保護が受給できるよう環境調整を行い,その点が裁判で認められて執行猶予判決となった事例

弁護活動

 依頼人は,元々勤めていた仕事を退職してから仕事が見つからず,次第に生活費に困るようになりました。そして,所持金が底をついた時,以前の職場に忍び込んで金目の物を盗み出すという犯行に及んでしまいました。
 依頼人が逮捕,勾留され,国選弁護人として受任しました。
 依頼人には前科がなかったため,執行猶予の判決となる可能性が十分にありました。ただし,そのためには,身柄を解放された場合の生活環境を整える必要がありました。
 依頼人に仕事が見つかればベストですが,釈放後すぐに雇ってもらえるような仕事を見つけるのは残念ながら難しい状況でした。そこで,役所に相談し,釈放された場合にはすぐに生活保護を受給できるよう手はずを整え,裁判でもそのことを立証しました。
 判決では,依頼人は執行猶予となり,身柄を解放されました。判決当日に,弁護人が同行して役所に赴き,生活保護受給のための手続をとりました。また,依頼人の住居もその日のうちに見つけることができました。
 刑事裁判の判決内容,特に,実刑か執行猶予かという点は,判決後に被告人が置かれる環境によっても大きく違ってきます。犯罪から遠ざかり,落ち着いた生活を行えるような環境を整えることも,刑事弁護人にとって重要な職務の1つになります。