弁護事件例

2016.06.17 【窃盗・横領】窃盗

ホームレスが転売目的で本を書店から万引きした事例において、略式起訴による罰金の処分となった事例

捜査弁護
罰金

事案の紹介

 依頼人はホームレスであったが、金策に窮し、転売目的で書店から本を数冊万引きした。依頼人はこれまでに何度も同種行為に及んだことがあり、捜査機関側にも、(弁護人として就任した時点で)そのことが明らかになっていた。なお、依頼人はホームレスとはいえ20歳を過ぎたばかりの若年であった。

弁護活動

 逮捕・勾留された後、国選弁護人として事件を受任しました。
 万引きの中でも、転売目的の事案は悪質だと評価される類型です。繰り返していたり、被害額の大きさによっては、正式な裁判の請求もありうる事件です。また、検察官が罰金相当と評価しても、被疑者の住所が不定の場合には、罰金をただちに納めることができないため、正式な裁判となったうえで罰金刑の判決となることも多いです。
 そこで、弁護人は、ホームレスとはいえ依頼人が若年であることに着目し、依頼人の親族(相当遠方に住んでいました)と連絡を取り、身元の引き受けをお願いしたり、示談金や罰金の支払いの協力をお願いしたりしました。
 店舗の意向で示談を成立させることはできませんでしたが、親族が示談金などを準備し、依頼人を迎え入れるつもりであることを検察官に伝えました。
 そして、罰金になった場合には親族の協力を得て支払うことができる旨検察官に伝えた結果、検察官は正式裁判の起訴をせず、略式裁判による罰金の処分となって、勾留20日目に釈放されました。