弁護事件例

2016.06.17 【暴行・傷害】傷害致死

少年の傷害致死事件で刑の減軽が得られた事例

減刑
裁判員
少年

事案の紹介

 少年同士の殴り合いの喧嘩から生じた傷害致死事件の裁判員裁判で,実刑となったものの,減軽された不定期刑が科された事例

弁護活動

 依頼人は未成年の男性で,国選事件として受任しました。
 未成年が事件を起こした場合,逮捕・勾留された後に,家庭裁判所に送致されることになります。一定の重大事件の場合には,家庭裁判所において,成年と同様に刑事裁判をすべきとの判断がされることがあります。
 この事件の依頼人も,未成年でしたが,傷害致死という重大事件だったため,家庭裁判所の判断で刑事裁判(裁判員裁判)を受けることとなりました。
 事件の内容は,友人間での喧嘩がエスカレートし,周囲にあおられたこともあり,依頼人が被害者の頭部を蹴るなどしてしまい,その結果として被害者が亡くなってしまったというものです。
 依頼人は事実を認めて反省しており,弁護活動の目標は,情状酌量を得てできるだけ軽い刑の判決を得ることでした。
 そのために,関係者から可能な限り話を聞いて,普段の依頼人には暴力的な傾向などは見られず,普通の少年であったことを明らかにしたいと考えました。両親だけでなく,当時や過去に通っていた学校の先生などに話を聞き,依頼人の普段の生活や性格の傾向等を詳しく調べました。
 公判では,両親に証人として出廷してもらうだけでなく,学校の先生にも書面を作成してもらい,弁護人が調べた内容を裁判員・裁判官へ分かりやすく伝えるよう努力しました。
 未成年の刑事裁判では,成人の場合と異なり,懲役○年以上~○年以下という,一定の範囲での懲役刑(不定期刑)が科されることがあります。
 この事件での検察官の求刑は,懲役5年~8年以下の不定期刑でした。判決は,4年6月以上~6年6月以下の不定期刑となり,検察官の求刑から一定の減軽が得られました。
 その後,この事件の裁判員を務めた方の意見を間接的に聞く機会がありました。学校の先生の作成した書面などから,少年の普段の様子を知れたことが,刑を決める上で参考になったという趣旨の意見であり,丁寧な情状立証の必要性を改めて認識しました。