弁護事件例

2016.06.17 【その他】商標法違反

偽ブランド品を販売目的で所持していた事例で、偽ブランド品であることを知らなかったと主張し、不起訴処分を獲得した事例

不起訴
捜査弁護
否認

事案の紹介

 依頼人は、中国から、いわゆるブランド物のジーンズ等を仕入れ、インターネットオークションで転売していました。しかし、自宅に突然捜査機関が訪れ、自宅においてあったジーンズ等を押収していきました。そして、所持していたジーンズが偽物であることが発覚し、逮捕されました。依頼人は、一貫して、本物であると確信して販売していたと主張していました。

弁護活動

 逮捕直後に、私選弁護人として受任しました。
 依頼人に接見して話をよく聞くと、依頼人は、偽ブランド品とは全く思っていなかったことの根拠として、取引相手に確認して本物であるとの合理的な説明を受けていることや、お客さんからクレームも入っていなかったことなどを話してくれました。
 弁護人は、依頼人に対し、取調べで、自分が扱っていたものは本物であると確信していたこと、その根拠をきちんと捜査機関に話すことを助言しました。そして、話したことを捜査機関が調書にまとめようとした場合には、調書への署名押印を拒む(署名押印拒否権を行使する)ことを助言しました。
 「話をするが、話をまとめた調書への署名はしない」という方法は、被疑者から捜査機関に「情報を与えるが、証拠を与えない」という戦略です(調書は、署名しなければ証拠になりません)。そのほか、被疑者には黙秘権がありますから、捜査機関に情報すら与えない方針が正しいと考えられる事例では、依頼人に対して、取り調べで黙秘権を行使することを助言すべきこともあります。このように、捜査段階で、取調べでどのような対応をすべきかについて依頼人に明確な助言をすることは、プロフェッショナルの刑事弁護人にとって重要な任務です。
 この事件は、依頼人が偽ブランド品だと認識していたことの嫌疑が不十分であるとして、不起訴処分になりました。