弁護事件例

2016.06.17 【暴行・傷害】傷害

部活動中,部員を殴ったとされ起訴された傷害事件で,無罪が言い渡された事例

無罪
否認
証拠収集

事案の紹介

高等学校の剣道部の部活動中に,顧問の先生が,指示に対してミスをした部員(高校生)に対して暴力を振るったと当該部員から被害届が出された。顧問の先生は,そのような事実ないと述べていたにもかかわらず,傷害事件で起訴された事案。

弁護活動

傷害事件として起訴後に私選で依頼を受けた事件です。

まず,検察官の保有する証拠の開示を求めるために公判前整理手続に付すよう上申をしました。その後,検察官が任意に証拠開示を行い,検察官が主張・証拠構造を明示したため,結果的には,公判前整理手続には付されませんでした。
しかし,検察官の重要証人の供述調書が多数開示され,反対尋問等の材料となりました。

学校側に確認したところ,事件があったとされる当時,部員が50名程度いたことが分かりました。そこで,学校側にお願いし,在校生全員からヒヤリングを行いました。この調査により,在校生でそのような事件を目撃している生徒がいないことが分かりました(被害者や事件を目撃したと証言する生徒は,OBになります。)
また,学校内でもこの事件に関する調査等が行われていたので,学校の先生からその調査結果についてもお聞きしました。

法廷では,検察官が被害者とされる人物・目撃者2名・被害者の父親・法医学者2名の証人を請求しました。
弁護側は,被害者が被害を受けたとされる日時の後に,体罰を受けたことがないとツイッターなどと友達同士で述べていたことや,学校の先生が行ったヒヤリング調査時にも,本件事件のことを述べていないことを反対尋問等で追求しました。
また,目撃者2名も,目撃した内容について変遷が見られましたので,その点を反対尋問で追求しました。
弁護側は,そのような事件を見ていないとする学校関係者や生徒を合計6名ほど証人として請求しました。
また,被害状況と矛盾する証拠関係の請求もしています。

判決では,被害者及び目撃者の供述は信用できないとして無罪となりました。
体育会系の部活動では,指導の際に暴力を振るうような許されない事例もあるようです。
しかし,実際にそのような事実がないにもかかわらず,逆恨み等によって被害届・告訴がなされることが残念ながらあるように思います。
当然無罪とされるべき事件ですが,依頼者が学校で再び教職を続けることができて良かったです。