弁護事件例

2016.06.17 【殺人】殺人

責任能力が争われた殺人事件で懲役24年となった事例

裁判員
否認

事案の紹介

簡易宿泊所で生活する被害者と依頼人がケンカとなり,包丁で刺殺したとして裁判員裁判で審理された

弁護活動

 依頼人は若いころに覚せい剤を使用した経歴があり,その後遺症で幻聴が聞こえるようになっていました。
 簡易宿泊所で別の部屋に居住する被害者から日中に殴打されたり,罵倒されるなどしこともあり,一人部屋でいるうちに,やっちまえ,という幻聴が聞こえてくるようになりました。
 幻聴に逆らえなかった依頼人は,包丁を手に取り被害者の居室に行き,寝ている被害者の頸部をそのまま包丁で突き刺し殺害してしまいました。
 裁判では,犯行が幻聴による影響であるか(責任能力があるかどうか)が争われました。
責任能力とは,精神の障がいによって事件を起こした場合,心神喪失であれば無罪,心神耗弱であれば減刑されるというものです。
 精神科医による鑑定が行われ,法廷で証人尋問がなされました。
 結果,被害者から暴行を受けたり罵倒されたことで怒りを募らせたという動機は十分い理解できるとして,完全責任能力であったとされました。