弁護事件例

2016.06.17 【】

強盗殺人,強盗致傷,強盗強姦等の多数の罪名で起訴され,第1審の裁判員裁判で死刑判決となったが,控訴審で無期懲役となった事件

減刑
裁判員
原審破棄

事案の紹介

強盗殺人及び多数の強姦致傷,強盗強姦事件で起訴され,第1審の裁判員裁判では死刑判決が選択されたが,控訴審で弁護人の量刑不当の控訴趣意については理由があるとされ,第1審判決が破棄され,無期懲役となった事例(その後,検察官の上告は棄却され,無期懲役の判決が確定した。)

弁護活動

第1審では,国選弁護人4名で対応していたのですが,控訴審の段階では,国選弁護人を2名しか裁判所は認めず,私自身は,千葉県弁護士会の支援弁護士制度を利用して,共同で上告事件が終わるまで弁護を担当しました。

依頼者は,過去にも多数の服役歴があり(ただし殺人等の前科はありませんでした。),今回起訴された事件は多数の重大事件があるものの,死亡した被害者が1名であり,殺害に計画性がない点に特色がありました。

第1審では,死亡した被害者は1名であるものの,他の事件も重大で人の生命に危険が及ぶ可能性のある事件であり,人が死亡した事件以外の事件も重視して,死刑を選択しました。

控訴審では,様々な主張はしましたが,裁判所で受けいれられた弁護人の主張は,死刑事件においては,過去の先例を踏まえた公平さも要求され,過去の事件では,死亡被害者が1名の場合には,死刑が選択されない傾向があることや,第1審で重視された他の事件は,法定刑に死刑が含まれていないものもあり,死刑を選択するか否かという場面で決定的な事情とはならない,という量刑不当の部分でした。

控訴審では,第1審の判決が量刑不当と判断され,死刑ではなく無期懲役の判決が選択されました(その後,検察官が上告しましたが,棄却され,控訴審判決が確定しました。)。