弁護事件例

2016.06.17 【薬物事件】覚せい剤密輸

ガーナから来日した男性の覚せい剤密輸事件で,有罪判決(懲役9年・罰金450万円/求刑13年・罰金700万円)が言い渡された事例〔裁判員裁判〕

裁判員
否認

事案の紹介

被告人は,スーツケース内の民族衣装内に隠匿された覚せい剤(約2kg)を日本に入国する際に申告せず,税関検査時に覚せい剤が発見された。被告人は,本件民族衣装は知人から日本の知り合いに渡して欲しいと預かったもので,覚せい剤が隠匿されていることを知らなかったと述べたが,有罪となった。

弁護活動

国選弁護人として受任した裁判員事件です。

被告人は,スーツケース内にアフリカの民族衣装を数着いれて日本を訪問しました。
民族衣装の裏側には,覚せい剤入りの袋が縫い付けられており,良く触れば,その違和感に気がつきますし,衣装を振ったりすれば,ざらざらという砂をふった際に出るような音がする状況でした。

被告人は,自宅で,妻がいる時に,民族衣装を知人から預かったというので,被告人の家に電話をかけ,妻にそのときの状況を聞こうとしましたが,なぜか妻にも現地の弁護士が付き,これ以上の協力はできないと言われてしまいました。
被告人によれば,スーツ・ケースに民族衣装を詰めてくれたのは妻ということだったのに,その裏付けがとれなくなってしまいました。

法廷では,被告人の来日目的はビジネスだったと主張し,被告人が所持していたビジネス関連の証拠を提出しました。また,妻が民族衣装をパッキングしたので,被告人は,手触り等から不審を抱く状況になかった等の主張もしました。

残念ながら,裁判で,被告人の話は信用されず,覚せい剤取締法違反・関税法違反被告事件で有罪判決となりました。