弁護事件例

2016.06.17 【薬物事件】覚せい剤譲渡

覚せい剤の譲渡,所持で懲役3年6月となった事例

減刑

事案の紹介

 覚せい剤等の密売組織に関わり,覚せい剤131グラム,大麻150グラム,コカイン19グラム等を営利目的で所持し,かつ2名の客に対して覚せい剤を譲渡した

弁護活動

 依頼人は密輸組織に関わる人物から誘われ,薬物が保管されている部屋で待機し,客から連絡が来ると薬物を譲渡し代金を受け取る仕事をしていました。
 このケースでは,組織の中で依頼人が最も立場が低く,上位者が数人いました。薬物の売買による利益の大半は上位者に帰属し,いわば使われている立場でした。
 このようなケースでは,最も低い立場の人が逮捕されるリスクがある仕事(実際に渡しに行く)をさせられることがほとんどです。
 上位者は,顧客のデータや薬物の入手などを担当し,電話連絡のみで下位者を使うのです。
 従って,裁判では使われていたにすぎないこと,主犯ではないことを裁判所に明らかにする活動が求められます。
 判決では,「被告人は,共犯者の指示に従っていたもので裁量はなく,報酬も共犯者の取り分に比し低額であり,従属的な立場で犯行に関与したと認められる」と認定され,懲役3年6月,罰金20万の判決となりました。
 覚せい剤も自己使用であっり,自己使用目的の単純所持であれば初犯で執行猶予になることがほとんどですが,営利目的所持や営利譲渡などの場合は,その回数,量により執行猶予から懲役10年近くまで様々です。