弁護事件例

2026.09.28 【薬物事件】覚せい剤密輸

覚醒剤の営利目的輸入事件(覚醒剤取締法違反・関税法違反)で、判決で覚醒剤輸入の故意が否定され、執行猶予判決となった事案。

一部無罪
執行猶予
裁判員
否認
証拠収集

事案の紹介

依頼者は、知人の男性から「時計と金」を運ぶ仕事を頼まれ、海外から日本にスーツケースを持ち込んだところ、空港の税関検査でスーツケース内から大量の覚醒剤が発見されたため、逮捕・勾留されて覚醒剤の営利目的輸入罪及び関税法上の禁制品輸入未遂罪で起訴されました。

弁護活動

国選弁護人として受任した事件です。

依頼者は若い女性で、交際はしていないものの親しい関係にあった知人男性から頼まれた仕事を引き受け、結果的に覚醒剤の入ったスーツケースを日本に運ばされていました。

依頼者は、裁判の対象になっている事件の前から2回ほど、同じ知人男性に「時計と金」を運ぶ仕事であると説明されており、日本に渡航してきた際にも同様の説明であったためにこれを信じ、日本にスーツケースを運んできたとの説明をしていました。

実際に、検察官から請求された証拠の中に、そのような説明を受けていたことを裏付ける依頼者と男性のメッセージのやり取りも残っていましたが、それだけでは依頼者が男性の説明を信じていたことの裏付けには十分でない面がありました。

そこで、弁護人は、公判前整理手続において依頼者の携帯電話に保存されたデータの解析結果全体の開示を受け、過去のメッセージなどを検索し、依頼者と知人男性が親密な関係にあったことをうかがわせるメッセージを証拠提出するなどしました。

公判での弁護活動では、被告人質問で丁寧に依頼者が知らないまま覚醒剤を運ばされたというストーリーを丁寧に述べてもらった上で、最終弁論において、依頼者が知人男性との関係性や依頼内容の合理性から「時計と金」と信じており、疑うことがなかった理由の議論を深めました。

判決では、基本的に弁護人が弁論で述べた点を基に、依頼者が「時計と金」と信じていた合理的疑いが残り、違法薬物の認識が認められないとして、覚醒剤取締法違反の罪の成立が否定され、関税法上の無許可輸入罪のみが成立し、執行猶予判決となりました。

その後、検察官の控訴はなく、執行猶予判決が確定しました。