弁護事件例

2023.02.13 【強盗・恐喝】強盗致傷

原付バイクでのひったくりの際に、被害者に怪我を負わせた行為について、強盗致傷罪は成立しないと主張した事例

減刑
裁判員
否認

事案の紹介

被告人が原付バイクを用いて、路上で6件の引ったくりを行ったことで起訴された事例。6件のうち1件では、被害者が転倒して上腕骨骨折及び頬骨骨折の傷害を負ったことにより、強盗致傷罪として起訴されていたところ、この件については、転倒の原因は被告人が引き倒したことではなく、被害者がバランスを崩したことであり、暴行が強度でないとして、強盗致傷罪は成立しないと主張した。

弁護活動

不鮮明ながらも犯行の様子が防犯カメラ映像に記録されていたことから、同映像を徹底的に分析し、バッグの奪取と被害者の転倒のタイミングの先後を明らかにしようとつとめました。また事件に使用したバイクと同じバイクを用いて再現実験を行い、これを被告人質問で再生しながら尋問することで、被告人の主張する奪取態様をわかりやすく立証しようとしました。被害者の反対尋問では、持っていたバッグを引っ張られた時間が一瞬であったことを強調する尋問を行いました。さらに被害者に被害を与えた事自体には争いがないことから、被害弁償につとめました。
 判決では、強盗致傷罪の成立は認められましたが、暴行は短時間にとどまる上、意図して被害者を負傷させたわけではないなどとして、同種事案の量刑傾向の中で重い部類に属するとはいえず、酌量減軽をおよそ許さないものとは言えない、としました。
結論は懲役5年(求刑8年)でした。