弁護事件例

2022.10.31 【交通犯罪】過失運転致死

過失運転致死事件で,執行猶予付き判決となった事例

執行猶予
在宅
証拠収集

事案の紹介

被告人が,自動車を運転していたところ,前方から道路を横切ろうとした歩行者の発見が遅れ,自動車に衝突させ,被害者を死亡させた事例(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)。

弁護活動

被告人は,事故現場で,119番通報等の適切な行動をとっていたことから,逮捕,勾留されることなく,在宅事件でした。
起訴後に弁護人となりましたが,まず,被告人に事故現場を案内してもらい,被害者が運転席からどのように見えるか,現場検証を行いました。事件発生した時刻は早朝でしたが,事故が起きた同じ時刻,同じような天気で現場でどのように見えるのか,様々な角度から確認しました。
その上で,被告人から話を聞き,被告人にとって不利な事情と有利な事情を確認しました。また,依頼を受けた段階では,被害者遺族の連絡先等も不明であったことから,検察官を通じて,遺族の連絡先を聞き,謝罪の手紙を出しました。この手紙も何度も書き直してもらうことで,事件と深く向き合うこととなりました。
裁判では,被告人に有利な事情を被告人に語ってもらい,被告人の配偶者にも被告人をこれからも支える旨の証言等をしてもらいました。被告人に語ってもらう中身で重視したのは,より悪質だと考慮される過失がないこと(例えば,事故時に携帯電話操作をしていないこと。),悪質な運転とまでは評価できないこと(事故時の速度や交通法規に違反した運転をしていないこと)等です。
刑事裁判のタイミングでは,示談は成立していませんでしたが,被告人が加入している保険会社から示談情況等を聴取し,その内容も証拠化し,示談がまとまる可能性が高いこと等も立証しました。
判決は,禁錮1年6月,執行猶予3年でした(検察官の求刑禁錮1年6月,弁護人の意見は執行猶予)。