弁護事件例

2022.11.07 【暴行・傷害】傷害

犯人性ではないと主張した少年事件で抗告が認められ、最終的には不起訴となった事例

否認
原審破棄
少年

事案の紹介

少年が夏祭りの会場で被害者ら2名とトラブルになり、被害者両名に対して暴行を加えて傷害を負わせたとされた事例。少年は、その場にはいたものの、暴力をふるったことはなく、被害者ら2名とトラブルになったのも別の人物であるはずだと主張した。被害者らのいう犯人と少年が同一人物であるかが問題となった。

弁護活動

 少年が犯人であることの主要な根拠は、被害者2名の供述と、目撃者とされる人物の供述でした。被害者2名のいう犯人の着衣と同一の特徴の別の人物を、事件現場付近を撮影した防犯カメラ映像内から探し出し、この人物が真犯人である可能性が高いと主張しました。また、家庭裁判所の審判では、被害者2名に対する反対尋問を行い、見間違いの危険が高かったことや、事件直後には犯人の顔をよく記憶していなかったことを明らかにしました。目撃者とされる人物は、審判への出廷を拒否したため、証人尋問がなされませんでした。
 家庭裁判所は、少年が犯人であるとして非行事実を認定し、少年を少年院に送致するとの決定をしました。この決定に対して抗告し、決定の論理は誤りである旨主張したところ、高等裁判所は、被害者2名の供述は信用できず、また家庭裁判所が目撃者の証人尋問を行わなかった点は誤りであるとして、事件を家庭裁判所に差し戻しました。少年は少年院から出る事ができました。
 その後本件は、少年の年齢超過を理由に検察庁に送致されました。検察官は少年を不起訴処分とし、事件は終了しました。