弁護事件例

2022.08.01 【殺人】

殺人事件で、共同正犯ではなく幇助犯が成立するにとどまるとの主張が認められた事例。

一部無罪
減刑
否認

事案の紹介

依頼者は、共犯者2名と共に、保険金を得る目的で被害者を殺害する計画を立て、それを実行したとして、殺人罪の共同正犯として起訴されました。事件は、裁判員裁判で審理され、弁護人は、依頼者が他の2人が計画して実行した事件を手伝っただけであり、法律上共同正犯よりも刑を減刑すべきとされる「幇助犯」が成立するにとどまるとの主張を行いました。

弁護活動

本件は、当初、共犯者2名と共に3名一緒に起訴されていましたが、弁護人は、この事件では、弁論を分離すること(依頼者と他の共犯者について、裁判や裁判の準備のための手続きを別々に行うこと)が戦略上有利であると判断し、裁判所にこれを求めました。そして、弁護人は、依頼者の主張を裁判員を含む事実認定者に受け入れてもらうために最も適切な主張や証拠調べの方法(ケース・セオリー)を検討しながら、裁判の準備を進めました。
裁判では、共犯者2名を含む証人に対する反対尋問や、依頼者に事件の説明をしてもらう被告人質問を通じて、弁護人のケース・セオリーを裏付ける証拠調べを実践し、最終弁論ではそれらをわかりやすく事実認定者に伝える工夫をしました。
その結果、判決は、弁護人の主張を認めて依頼者は幇助犯が成立するにとどまるとした上で、懲役10年を言い渡しました(検察官及び被告人の双方が控訴せずに確定)。