弁護事件例

2016.06.17 【強盗・恐喝】強盗致傷

ホームレスが起こした強盗致傷事件で、更生の環境を整え、相当の減刑を獲得した事例

減刑
裁判員

事案の紹介

 ホームレスである依頼人が、仕事を失いお金に困った結果、コンビニ強盗を企てた事例。依頼人は、ナイフを用いて、深夜のコンビニに入り、店員にナイフを突きつけて「金を出せ」などと迫った。店員が抵抗したため、ナイフで店員の太ももを切り付け、けがを負わせてしまった。強盗致傷(強盗傷人)罪で裁判員裁判となった。

弁護活動

 逮捕された後、国選弁護人として事件を受任しました。
 依頼人が犯人であることを示す証拠があり、コンビニの防犯カメラなどでもはっきりと事件の様子が映し出されていたことから、もっぱら依頼人にふさわしい刑をどう考えるかが裁判のポイントになりました。
 この事件は、そもそも依頼人がホームレスの生活をしていて、日雇いの仕事を失ったことが原因になっていました。依頼人は、ホームレスとなってからも、何年も、日雇いの仕事などを見つけて生活しており、決して、窃盗や強盗を繰り返していたような人物ではありませんでした。そこで、弁護人において、ホームレスや日雇い労働者などを支援している福祉団体を探しました。そして、福祉団体の職員に直接お願いをし、依頼人が出所後、福祉施設で受け入れてくれることを約束してもらえました。福祉団体の職員には、法廷に実際に来てもらって証言してもらいました。
 検察官は、事件の悪質性などを重視して懲役7年を求刑しました。弁護人は、事件の悪質性が同種の事案の中では必ずしも悪質でないことを主張し、福祉団体の支援などが見込まれるため再犯のおそれはないことなどを主張して懲役5年がふさわしいとの意見を述べました。
 判決は、懲役5年5か月の判決でした。判決の中で、福祉団体の支援についてふれられ、「被告人の更生が期待できる」と評価されました。