弁護事件例

2016.06.17 【暴行・傷害】傷害

依頼人が犯人であることが否定されて無罪となった事例

無罪
否認

事案の紹介

 依頼人が引ったくり等の犯人と疑われ,起訴されたものの,防犯カメラに映った犯人と依頼人との同一性が認められず,無罪となった事例

弁護活動

 事件は,原付に乗った犯人が,路上で被害者からバッグを奪って逃走したという引ったくり事件(窃盗・傷害)です。
 依頼人は,一貫して,引ったくり事件の犯人であることを否定し続けていました。しかし,最終的に,依頼人は,引ったくり事件の犯人として起訴されてしまいました。
 依頼人が犯人と疑われた大きな根拠になったと考えられるのは,事件の場面を撮影した防犯カメラ画像でした。その画像を解析した専門家が,防犯カメラに映った犯人が依頼人と同一人であることを肯定する意見を述べていました。
 しかし,防犯カメラ画像では,犯人の顔がはっきりと映っているわけではなく,専門家の意見にも十分な論拠があるようには思われませんでした。そこで,この画像解析の専門家の意見が信用できないものであることを示すことが,弁護活動の大きな目標になりました。
 公判では,この専門家が証人として証言をすることになりました。弁護人からの反対尋問では,その証言の信用性を否定するために,①基礎となる画像が正確な解析には十分でないこと,②専門家の意見に客観性のある裏付け(統計数値等)がないことを示すことをポイントとしました。
 その結果,判決では,専門家の証言は,依頼人が犯人であることとの関係での証明力に限界があると判断されました。そして,その他の証拠を踏まえても,依頼人が引ったくり等の犯人であることには疑いが残るとして,無罪の結論となりました。
 なお,依頼人は,軽微な別事件でも起訴されていたため,最終的には罰金刑の判決を受けました。