弁護事件例

2016.06.17 【】

殺人未遂等の罪名で起訴され、殺意を争ったが、懲役13年となった事件

裁判員
否認

事案の紹介

路上で口論となった相手に暴行を加えた後、運転していた車を急発進させて衝突させ、その後車で引きずったという行為について、殺人未遂罪で起訴された。被告人運転車両は、上記行為の後、さらに赤信号を無視して走行中、他の車両と衝突して乗員を負傷させたという行為について、危険運転致傷罪でも起訴された。

弁護活動

国選弁護人として担当しました。

依頼者は、交通トラブルで口論となった相手に暴力を振るった後、停車していた自車に乗り込んで急発進させて現場から逃走しました。急発進した際に、依頼者は、車の前に被害者がいることに気付かなかったこと等を主張し、殺意を持って車を衝突させ、さらに被害者を引き摺って車を進行させたという検察官の主張を争いました。

公判では、検察官及び弁護人の双方が請求した自動車工学の専門家の証人尋問等を実施しました。弁護人は、客観的な証拠から、運転席からの死角が生じることや被害者を引きずって走行していた時間が極めて短時間であったことなどを説明し、依頼者が被害者の存在に気付いていなかった可能性が十分あることを主張しました。

また、裁判までの期間、依頼者が、被害者に大きな怪我を負わせてしまったことについて反省を深めていることを示す謝罪文や被害弁償の申出の経緯等についても立証しました。

判決は、依頼者は被害者の存在に気付いていながら車を発進・進行させたという事実認定を行い、本件が殺人未遂罪の中でも特に悪質な部類にあたるとして検察官の求刑通り懲役13年を言い渡しました。