弁護事件例

2016.06.17 【交通犯罪】過失運転致傷

交通事故で控訴審で破棄された事例

否認
原審破棄

事案の紹介

 自動車を運転中に被害者に衝突させて転倒させたところ,転倒した被害者の足をさらにタイヤで轢いたとして自動車運転過失傷害罪に問われた事例

弁護活動

 依頼人は運転していたものの被害者に衝突させていない,被害者が自ら転倒しただけでタイヤで轢いた事実もないと主張していました。被害者はその場で救急車で運ばれ治療を受けていました。被害者がその日に怪我をしていたことは間違いがなく,問題は依頼人の運転車両との衝突でできたのか,別の機会なのかが争われました。
 第1審では,被害者や目撃者の尋問が行われ有罪となってしまいましたが,事故当日のカルテに被害者の主張と沿わない記載があったため,控訴審は破棄して事件を第1審に差し戻しました。差し戻し後の第1審で国選弁護人に選任され活動を開始しました。
 控訴審で破棄され差し戻されることは珍しいことです。破棄されると第1審で再び審理が始まるのですが,一からやり直すということではなく,控訴前の第1審の状態を引き継いで控訴審で指摘された事項を中心に審理を行うのが通常です。
 今回の事件ではカルテを作成した医師の尋問を行い,被害者の傷が被告人の運転車両によってできたものであるかについての法医学者の証人尋問,被害者の再尋問などが行われました。
 結果は再び有罪判決となり懲役1年6月執行猶予3年でした。