弁護事件例

2016.06.17 【強姦(強制性交等罪)】強姦(強制性交等罪)

DNA型鑑定により犯人であるとされ有罪となってしまった事例

事案の紹介

 深夜路上で女性を襲い,わいせつ行為をした上で金品を強奪した犯人として逮捕された。依頼人は全く身に覚えがないと主張していたが,現場遺留物から依頼人のDNAが検出された。

弁護活動

 この事件は上告審の国選弁護人として担当した事件です。
 本件での中心的な争点はDNA型鑑定の信用性でした。DNA型鑑定は現場遺留物のDNA型と対象者(この場合だと依頼人)のDNA型を比べて,その型が全てにおいて一致すると何兆分の1などの確率で同一であると鑑定されるものです。
 DNA型鑑定は科学の発展に伴い一定の信頼性があるとされていますが,あくまで対象物は人が採取し保管する,鑑定も人が行うため,いずれにも間違いが入る余地があります。
 また仮に現場からDNAが検出されたとしても,本当に犯人でなければ説明できないのかということも問題になります。
 今回の事件では,その場所にすら行っていないという主張でしたので,現場遺留物の採取・保管・運搬の経過や,鑑定そのものの妥当性が争われました。
 上告審で担当したため,第1審や控訴審における記録の検討と上告趣意書が主な活動となります。上告審は法律審と言われ基本的に公判が開かれません。
 DNA型鑑定に関する専門家の意見を聞き,上記の通り鑑定の問題点を上告趣意書において主張しましたが結果は上告棄却となりました。