弁護事件例

2025.05.26 【薬物事件】覚せい剤密輸

覚醒剤を密輸したと覚醒剤取締法違反、関税法違反で起訴されたが、覚醒剤密輸の故意がないとされ、覚醒剤取締法は成立しないとされた事例

無罪
裁判員
否認

事案の紹介

ネット上で知り合った女性に金銭的支援をしていた男性が、その女性から投資してくれる人を紹介され、指示に従って海外まで行き、お土産がはいっているスーツケースを渡されて帰国したところ、そのスーツケース内に覚醒剤が隠匿されており、起訴された。

弁護活動

依頼者が、まず、女性に欺されていた証拠を集め、女性に多額の送金をしていた事実を立証しました。依頼者は、いわゆるロマンス詐欺の被害者であることを主張しました。
また、依頼者は、実際にロマンス詐欺の被害にあっている上、欺されやすい特性があるように思われたので精神鑑定の請求をし、それが認められました。精神鑑定の結果、依頼者は、慢性期の統合失調症で、欺されてもそのことを理解しにくい特性があることが分かり、鑑定人に、法廷でそのことを証言してもらうことになりました。
検察官は、依頼者は、投資話に疑問を持っていたから、違法薬物密輸について疑っていたはずだと主張しましたが、依頼者に法廷で、投資話に疑問を持っていなかったことを直接説明してもらいました。
裁判の判決では、普通の人であれば、投資話に疑いをもつかもしれないが、統合失調症の特性をもつ依頼者は疑問を持っていたとは認められないと判断され、覚醒剤密輸の故意がないと判断されました。