刑事弁護ブログ

2023.06.19 刑事弁護コラム

構成要件とは

刑事裁判では、構成要件該当性を争う、などと言われることがあります。
ここで構成要件とは、ある犯罪が処罰の対象であるための要件、という意味です。
例えば、
刑法199条では、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定していますので、当然のことながら、殺害した相手が動物であった場合は機の規定は適用されません(別途動物愛護法違反にはなりえます。)
また、「殺した」ことが要件であるため、暴行の結果なくなってしまったり(傷害致死)、過失で死なせてしまった(過失致死)場合は、別の規定になります。

刑罰は、人の自由を奪う強大な人権制約ですから、あらかじめどのような行為が罰せられるのかが、国民に明確になっている必要があり、あらかじめ規定されていない理由で処罰することはできません(罪刑法定主義)。

構成要件には、客観的なものとして「実行行為」「結果」があり、主観的な要件として「故意」「過失」があります(そのほかにも犯罪に応じて要件があります)。

刑事裁判で争われる場合、そもそも規定されるような要件がない(そのような行為はしていない、など)と主張する場合もあれば、その要件に該当しない(何らかの行為はあるけれども、そもそも要件に該当しない、など)という争い方もあり様々です。

刑罰法規には、殺人罪のような単純な刑罰もあれば、経済犯や行政犯などのように、法規自体が複雑難解なものも珍しくなく、そのような法律違反で起訴された場合には、そもそも構成要件として何が定められているかから検討しなければなりません。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也