高野隆弁護士らが中心となって結成された「取調べ拒否権を実現する会」(Right Against Interrogation Society(通称「RAIS」))は、被疑者が黙秘権を行使する旨を明確に表明しても、取調べが漫然と続き、捜査官が被疑者に発問をし続ける現状に警鐘を鳴らしています。そして、憲法が保障する黙秘権を実質化するために、取調べ自体を拒否する弁護実践を提唱しています。
https://rais2024.jp/declaration
このような流れを受けて、捜査段階に、被疑者に取調べ自体を拒否するよう助言する弁護士も増えてきました。
具体的には、弁護人は書面を以って検察官、取調担当警察官、留置担当警察官に対し、「被疑者は今後一切の取調べを拒否するので、取調べをしないでほしい。取調べ室に連れ出さないでほしい。」旨を通知します。その上で、被疑者に、留置施設内の房から一切出ることがないよう助言します。
このような弁護実践により、実際に取調べ自体を拒否できることも少なくありません。ある事案では、初回の逮捕・勾留時に1回検察官の取調べがあっただけで、その後は一切取調べがない(取調べをするために留置施設を警察官が訪れても、一切拒否した)ということがありました。再逮捕が何度かされましたが、再逮捕に伴う検察官による弁解録取や勾留質問も拒否しました。
黙秘権を行使するよう被疑者に助言したとしても、捜査官の執拗な説得にまけて、供述をしてしまいそうになる、あるいはしてしまう事例は少なくありません。取調べ自体を拒否することは、このような黙秘権の行使を貫徹するための手段として非常に有効です。
もっとも、一部の重大犯罪の事例などでは、取調べを拒否し房からでないと言っている被疑者を、毎日車椅子に乗せて連行し、無理やり取調室に連れて行くことがあります。このような対応は今後増えるかもしれず、弁護人は捜査機関の対応を見極めながら、取調拒否の助言を効果的に行っていく必要があります。
東京ディフェンダー法律事務所 赤木竜太郎