刑事弁護ブログ

2021.08.10 刑事弁護コラム

裁判員裁判で刑の重さをどう判断するか

裁判員裁判対象事件は,殺人,傷害致死,強盗致傷,現住建造物等放火の罪など,故意の犯罪行為で人を死亡させたり,死刑または無期の懲役刑,禁固刑が定められている重い罪が対象となっています。
では,実際にどのように考えて言い渡す刑の重さを考えるのかについて,刑事罰が科されるのは,行われた犯罪行為に見合う責任を取らせるというのが基本といえます。
また,同じような犯罪行為が行われたのに対して,判断する人が異なれば刑の重さが大きく違ってしまうというのであれば公平な裁判とは言えません。

このため,裁判所は,まず,同じような動機,行為態様,結果などの犯罪行為に対してこれまでどのような重さの刑が言い渡されてきたか,ある程度類型的に捉えて大まかな量刑傾向を把握するようにしてます。
実際に,過去の裁判で言い渡された量刑のデータベースを使用し,罪名の他,動機,犯行態様,結果などの条件を入力して,量刑傾向を把握します。
次に,その量刑傾向の中で今回の事件がどのあたりに位置づけられるかを考えます。
今回の犯罪行為の責任の重さとして,犯罪行為の危険性や被害内容といった客観面と,犯罪行為を行ったことをどの程度責められるべきかという主観面から,犯罪行為の責任の重さを考え,量刑傾向の中でどのあたりに位置づけられるかを考えます。
その上で,犯行後の事情などその他の事情を考慮して,最終的に言い渡す刑の重さを決めると考えられています。
弁護人としても,裁判所がこうした判断をすることをふまえた上で,弁護人として相応しい刑の意見を述べる必要があると言えます。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾