刑事弁護ブログ

2021.07.13 刑事弁護コラム

職務質問と留め置き

警察官が行う活動の1つに職務質問というものがあります。
 歩行者や通行車両を停止させ,質問を行い,薬物等の法禁物の所持の摘発などを目的としています。
 
 この職務質問自体は,強制力はなく任意で行われるので,法律上は拒否することが自由です。
 しかし実際には,拒否します、といっても,警察官が,わかりました,といって引き下がることはありません。
 警察官の目的は,職務質問に引き続いて所持品検査をすることにありますから,所持品検査を応じさせるまで,説得活動が続きます。
 対象者が歩こうとしても,道をふさぎ,時に腕を掴んで停止させることもあります。電車やタクシーに乗ろうとしてもそれを妨害する行動にでることがあります。

 警察官からすれば,なにもなければ応じるはずだ,拒否するということはやましいことがあるからだ,という発想になり,拒否すればするほど嫌疑を深め,なんとか所持品検査をしようとしてきます。
 
 そのため,数時間もその場に留め置かれ,観念して所持品検査に応じたところ,薬物等が発見され,逮捕に至るというケースがあり,刑事裁判で,そのような留め置きが任意の警察活動として許されるか,ということが争われるのです。

捜査が違法となるかどうかはケースバイケースですが,留め置きの時間,態様,対象者の態度,強制捜査令状を請求したか否か,等を総合的に考慮されることになります。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也