刑事弁護ブログ

2019.07.24 刑事弁護コラム

「証拠リスト」について

2016年6月の刑事訴訟法改正によって,検察官が有している証拠の一覧表(「証拠リスト」)について,弁護人や被告人が交付を受けることができる制度が新設されました(施行は2016年12月。刑訴法316条の14第2項)。
これまで,被告人は,起訴されても,警察や検察が捜査によってどんな証拠を発見・収集したのかを知ることは極めて困難でした。検察官が当初「存在しない」と主張していた証拠が,裁判終結から長期間経過した後に「発見」され,冤罪が明らかになったという事例は決して珍しくありません。証拠リストの開示は,このような冤罪を無くすための法制度の改正として「一歩前進」と評価できると考えます。
ただし,このリスト開示が認められる事件は,刑事裁判が行われる全ての事件の一部に過ぎません。また,リストは,あくまでどのような証拠があるのかという「目録」に過ぎず,証拠そのものを全て開示する制度とは異なりますので,まだまだ改善されるべき部分は多いといえます。

法律事務所シリウス 虫本