刑事弁護ブログ

2018.10.24 刑事弁護コラム

精神鑑定って何ですか

精神鑑定とは,精神科医(鑑定人)が,被疑者・被告人の精神障害の有無や重症度,精神障害がある場合にその障害が事件へどう影響したか等について専門的な意見を述べるものです。
通常は,検察官が捜査で得られた証拠等を鑑定人に渡し,鑑定人はそれらの捜査資料の検討に加え,知能検査・心理検査,被疑者・被告人の問診,関係者との面談等をして鑑定書を作成します(なお,検査等は臨床心理士等が行っています。)。
鑑定にかかる期間は,通常は,2~3ヶ月程度です。しかし,精神科医にとっても判断が難しい事件だとそれ以上に長い期間をかけて精神鑑定が行われることもあります(身体拘束中の事件であれば,鑑定期間中は,警察署からいったん拘置所に移り,検査等を行う際には精神科病院に行くことになります。)。
鑑定書には,事件の概要,鑑定事項,鑑定主文,鑑定経過,診断,犯行の説明,総合評価,処遇等に関する参考意見が記載されます。それ以外にも,心理検査結果,問診時の応答や鑑別診断上問題となった事項等が記載されています。鑑定書は,30頁~40頁程度のものが多いですが,長いものだと100頁近いものもあります。
起訴前に精神鑑定が行われ,鑑定人が心神喪失であると判断するようなケースでは,検察官もその意見を尊重して不起訴処分とした上で,一定の事件については医療観察法の申立てを行っています。
心神耗弱であると精神科医が判断したケースでも,上記と同じように不起訴となる事件もありますし,起訴されて正式な裁判になるケースもあります。
精神鑑定は,起訴・不起訴あるいは,有罪・無罪の分岐点になったりと重要な役割を果たしています。また,精神障害の有無や事件への影響は,量刑においても,重要な意味を持つことがあります。

 

法律事務所シリウス
弁護士 菅 野  亮