刑事弁護ブログ

2018.06.27 刑事弁護コラム

「ビジュアル・エイド」の使い方

人は,五感の中で,視覚から8割以上の情報を得ているなどと言われます。
刑事裁判における当事者の意見陳述は,口頭で行われ,事実認定者である裁判員や裁判官の聴覚に訴えることになります。
しかし,「百聞は一見にしかず」という言葉のとおり,見れば一目瞭然ということも,口頭だけで伝えようとすると,簡単ではありません。
そこで,弁護人が法廷で弁論を述べるときなどには,口頭での陳述を中心としつつ,様々な視覚資料を用いることがあります。これを「ビジュアル・エイド」と呼びます。
ビジュアルエイドは,意見陳述の場面に限らず,証人尋問など,様々な場面で用いられています。

ビジュアル・エイドを使う上で重要なのは,まず何よりも,視覚的なイメージの伝わりやすさです。言葉での説明よりも分かりやすくするために使うのですから,ビジュアル・エイド自体が分かりづらければ使う意味がなくなってしまいます。
一方で,法廷での弁論は,口頭での陳述が基本です。弁護人は,言葉を使って事実認定者を説得するのであり,ビジュアル・エイドは,あくまで補助的に用いることになります。そのため,ビジュアル・エイドを多く使えばよいというものではなく,効果的な使いどころを考えることが大事です。

法律事務所シリウス 中井淳一