刑事弁護ブログ

2017.12.13 刑事弁護コラム

冒頭陳述とは

刑事裁判が開かれると通常第1回に検察官の冒頭陳述というものが行われます。
この冒頭陳述とは,証拠調べのはじめに検察官が証拠により証明しようとする事実です。
検察官は,起訴する前に捜査をして,被告人が有罪であることの証拠を集めています。
その一部を,被告人の有罪を立証するために裁判所に取調べを求めることになります。
その取調べを求める証拠から証明したい事実が冒頭陳述として語られることになります。
従って,この冒頭陳述は単なる検察官の意見にすぎません。そこで述べられたことが真実であるわけではありません。
実際証拠を調べてみたら,冒頭陳述で述べられた事実が立証できなかったということは決して珍しいことではありません。
なぜなら,捜査段階で集められた証拠というのは警察官や検察官といった,被告人の有罪を立証したいと考えている一方当事者の視点で集められたものにすぎません。起訴されて公開の法廷で弁護人の目で吟味することにより,その証拠が必ずしも信用できないものであったということがあり得るからなのです。

裁判員裁判などでは,弁護人も冒頭陳述をします。また,裁判員裁判でなくとも公判前整理手続を経た事件であれば冒頭陳述をしなければなりませんし,そうでない事件でも弁護側が冒頭陳述をしても構いません。

冒頭陳述は,証拠調べのはじめに,当事者が考える事実や,証拠の見方を明らかにするもので,裁判員や裁判官にとってもあった方が分かりやすいでしょう。

この冒頭陳述で何をどのように説明するかは,弁護人の工夫次第です。弁護士の力量が大きく問われることでしょう。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也