刑事弁護ブログ

2016.11.16 刑事弁護コラム

「故意がある」のはどんなとき?

「故意がある」とは,どのようなことを意味するでしょうか?
通常の一般用語でいえば,「故意」というのは,わざと何かをやることを意味します。分かっていながらあえてやったという場合に,「故意」という言葉を使います。

しかし,刑事事件における「故意」という言葉の意味は,違ってきます。殺人事件の場合を例にとって考えると,相手を「殺そう」と考えて包丁で刺したような場合には,もちろん故意が認められます。
ただし,それだけではなく,相手が「死んでしまうかもしれない」と思って包丁で刺したような場合でも,故意が成立することになります。法律用語では,「未必の故意」などと呼ばれる概念です。

したがって,刑事裁判で依頼人に「故意がなかった」と主張する場合には,単に,「わざとやったのではない」というだけでは足りません。刑事弁護人としては,この点を依頼人にしっかりと理解してもらい,適切な法的主張を組み立てる必要があります。

法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一