刑事裁判の第一審に不服があるときは、控訴することができます。
ここで、控訴審の弁護においては、刑事訴訟法法に定められた控訴理由をきちんと主張していかなければなりません。闇雲に「第一審はおかしい!」というだけでは説得力のある不服にはならないのです。
よく使われる控訴理由を紹介します。
まずは、訴訟手続の法令違反です。この控訴理由は、第一審で行われた裁判の手続に違法がある場合に使います。裁判所が誤った訴訟指揮をした場合がこれに当たります。このほか、採用すべきでない証拠を採用したり、採用すべき証拠を却下したりといった違法もこの控訴理由の対象になります。
つぎに、法令適用の誤りです。これは、裁判所が適用する法令を誤った場合を指します。そこまで実例が多くはありませんが、過去にも例があります。
続いて、量刑不当です。これは、第一審で言い渡された刑が重すぎる、または軽すぎて不当であることを理由とする不服です。懲役刑の年数に関する不服もそうですが、執行猶予がつかなかった、罰金刑が妥当なのに懲役刑を言い渡された、などの不服も含みます。
最後に事実誤認です。これは、第一審で認定された事実が誤っていることを理由とする不服です。無罪なのに有罪を言い渡されたという不服が最も典型例です。論理や常識に照らして、第一審の判断がおかしいということを具体的に主張しなければなりません。
このほかにもいくつかの控訴理由がありますが、使われやすい控訴理由について説明しました。控訴審のご依頼を検討されているときは、このような要件に照らした具体的な弁護方針を立てられる弁護士を選んでください。
法律事務所創衛 弁護士山本衛