刑事弁護ブログ

2026.10.26 刑事弁護コラム

逮捕状はほぼフリーパス

逮捕状とは、警察官(特捜事件等では検察官)が、被疑者を逮捕する際に、裁判所が発付した令状のことです。逮捕には、現行犯逮捕、通常逮捕、緊急逮捕の3種類があり、現行犯逮捕とはまさに目の前で犯行が行われたものなので令状は不要です。

緊急逮捕とは、一定の重大事件において逮捕状をあらかじめ請求しておくことができない場合に認められている逮捕手続ですが、事後に裁判所による審査を受けなければなりません。

通常逮捕とは、被疑者に嫌疑がある場合に、あらかじめ逮捕状を裁判所に請求し、裁判所が適否を判断した上で、逮捕状を発付するものです(なお逮捕状発付件数のうち90%以上が通常逮捕です)。

 警察官が逮捕したいと思ったときに、好きなように逮捕できるのではなくて、裁判所による令状審査というものが必要とされている理由は、逮捕して立件したいと考える警察官自らに逮捕して良いかどうかの判断権を与えては、不当な逮捕が生じるおそれがあるからです。独立した第三者である裁判所が、憲法と法律に従って、逮捕の要件があるかどうかをチェックすることとされているのです。

 ところが、実際には、令和6年司法統計によれば、逮捕状請求総件数87133件のうち、裁判所が却下した事案は58件しかありません。通常逮捕に限れば、81719件中30件のみが却下であり、0.03%にすぎません。

 実態は、警察官が逮捕したいと思えば逮捕できるといっても過言ではないのが実情なのです。

 しかし、逮捕される側から考えると、逮捕というのは、ある日突然留置場に入れられるということですから、仕事もできない、家族とも会えない、好きなこともできない、全ての自由が奪われることを意味します。それが日常生活やその人の人生に与える影響は甚大なものがあります。裁判所による厳格な審査が行われる必要があるのです。

坂根真也 (東京ディフェンダー法律事務所)