刑事弁護ブログ

2026.04.06 刑事弁護コラム

保釈に関する監督者制度

1 監督者制度
裁判所は、保釈を許し、又は勾留の執行停止をする場合において、必要と認めるときは、適当と認める者を、その同意を得て監督者として選任することができることとなりました(刑事訴訟法98条の4)。この新しい制度は、2024年5月に施行されたものです。
裁判所は、あらかじめ監督者として選任する者に対し、監督者の義務の内容や監督保証金の没取の制度を理解させるために必要な事項を説明しなければなりません。

2 監督者の職務等
裁判所に監督者として選任された場合、監督者は、「被告人の逃亡を防止し、及び公判期日への出頭を確保するために必要な監督をする」ことになります。
監督者は、裁判所から命じられた場合、被告人とともに指定された場所に、被告人と共に出頭したり、裁判所に対して一定の事項について報告することになります。
また、裁判所が定めた監督保証金を裁判所に納付する必要があります。

3 身柄(身元)引受人との違い
従来、保釈の実務においては、ほとんどのケースで、身柄引受人から身柄引受書をもらって、裁判所に提出していました。
身柄引受人としては、同居の配偶者、父母等の家族が多かったですが、それ以外にも、雇用主、友人、知人であることもありました。
身柄引受人は、監督や公判期日への出頭に協力する旨の身柄引受書を提出することはありましたが、裁判官と面談することはありませんでしたし、身柄引受人として、保釈保証金を積む義務はありませんでした(ただし、実際に被告人にお金がない場合、身柄引受人が、被告人にかわって、保釈保証金を納付することはありました。)。
また、実務の運用で行われていたため、身柄引受人に法的義務はないと考えられており、法的義務がある監督者とは立場かかなり異なるものです。

4 監督者がつけば、保釈が認められやすくなるか
監督者制度が選任された事例はまだ少なく、監督者制度の利用によって、保釈の許可が得られやすくなるのかは、今後の実務運用をみていく必要があります。
ただし、法的義務を負わない身柄引受人よりも、法的義務を負う監督者がいる場合のほうが、一般論としては、実効的な監督が期待できることになると思われ、そうであれば、従来、保釈が認められなかったような事例において、監督者が選任されることで保釈が認められやすくなることになるはずです。
他方、従来、身柄引受人だけでも保釈が許可されていた事例については、これまでの実務運用を変えることを目指した法改正ではありませんので、いままでどおり、身柄引受人から身柄引受書をもらって、保釈が許可されることになると思われます。

法律事務所シリウス  弁護士 菅 野  亮