刑事裁判の証人尋問で弁護士が「異議あり!」という。ドラマや映画でよくある場面です。
実際の刑事裁判のルールでは,単に異議があるというだけではなく,簡潔に理由を示して異議の申立をしなければならないとされています。
そして,検察官の証人尋問に対して異議を申し立てる場合,法令の違反があること,また相当でないことが理由となります。
このため,適切に異議を申し立てるためには,証人尋問に関する法令の知識が必要です。
証人尋問に関するルールは,刑事訴訟規則199条の3以下に規定があります。
例えば,立証すべき事項に関連性がない事項についての尋問は,異議の理由となります。
また,誘導尋問は,原則として禁止されています。
個別,具体的でない尋問は,異議の理由となります。
威嚇的な尋問,侮辱的な尋問は禁止されています。
その他,すでにした尋問と重複する尋問,意見を求める尋問,議論にわたる尋問や,証人が直接経験しなかつた事実についての尋問は,原則として禁止されています。
そして,異議の申立は,直ちにしなければならないとされています。
このため証人尋問に関するルールについて知識があった上で,検察官がルールに違反するような尋問をすることについて,予測することが重要です。
検察官は,証人に証言させたい事項を証人がその意図通りに証言しない場合,証言をさせようとするあまりルールに違反する尋問をしがちだったりします。
異議の申立を直ちにするためには,事案を十分に把握してルールに違反するような尋問が行われるか,適切に予想することが重要です。
東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾