刑事弁護ブログ

2025.08.25 刑事弁護コラム

無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況

無期懲役とは、刑期の定めのない懲役刑です。日本には仮釈放のない終身刑という刑罰は存在しませんが、無期懲役は年々服役期間が長期化し、事実上終身刑化している実態があります。
法律上は無期刑であっても服役10年を経過すれば仮釈放が可能となっていますが、有期懲役の上限が改正され長くなったことに伴い、無期懲役の仮釈放が認められるまでの期間も長期化し、法務省の通達では、服役後30年が経過した後に、仮釈放審査を行うとされています(申出自体は10年が経過すれば可能ですが、認められるのは30年以上経過した後であることが実態です)。

実際の統計をみてみると、令和4年末時点で、無期懲役の受刑者数は1688人であるところ、平均受刑期間は45年3ヶ月となっており,仮釈放が認められた人数は梨令和4年1年間で6人、死亡した無期懲役受刑者は同年度で41人です。
年齢構成をみると80歳以上が7.8%、70歳代が22.6%、60歳代が21.8%と高齢化しています。

また仮釈放審査にあたっては、検察官が意見を述べることになっていますが、平成25年から令和4年までに仮釈放の審査が会った350件のうち、検察官が反対した件数が222件そのうち許可が38件(17.1%)、検察官が反対しなかったものは60件ありうち許可が42件(70%)となっており、検察官の意見が強く反映する結果となっています。

なお、無期刑新規受刑者数は平成25年が39人、同26年が26人であった一方、令和3年は18人、同4年は10人と減ってきています。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也