無罪の判決が確定した場合、国は、被告人であった者に対して、裁判に要した費用の補償をするものとされています(刑事訴訟法第188条の2)。これは、一般的には、刑事費用補償請求と呼ばれています。
刑事費用補償の請求は、無罪判決の確定後6ヶ月以内に行なわなければならないとされており(刑事訴訟法第188条の3)、比較的請求期間が短いので注意が必要です。
補償の対象に含まれるのは、被告人本人及び弁護人の旅費、日当、宿泊費の他、弁護士費用です(刑事訴訟法第188条の6)。
ただし、私選弁護人に依頼をして弁護士費用が支払われている場合、必ずしもその全額が補償の対象となるわけではありません。補償される弁護士費用の金額は、刑事訴訟費用等に関する法律第8条2項で定められたとおり、「裁判所が相当と認める」金額になるため、通常は、私選弁護人に依頼した費用の一部が補償されるに留まることが多いと考えられます。
裁判所の行なった刑事費用補償の裁判に対して不服がある場合には、即時抗告をすることができますが(刑事訴訟法第188条の3)、即時抗告の期間は3日間と短いため、期間の経過には十分に注意する必要があります。
法律事務所シリウス 中井淳一