刑事弁護ブログ

2025.05.05 刑事弁護コラム

処分保留釈放とは

逮捕された人が処分保留釈放となった、という報道を見ることがあります。
処分保留釈放とは、文字通り逮捕された容疑(被疑事実)について処分を保留したままいったん釈放するという意味です。
刑事手続においては、逮捕した人を無制限に拘束しつづけることはできません。
法律上、警察官がある容疑で逮捕したら48時間以内に、検察官に送致しなければならず、送致を受けた検察官は24時間以内に裁判所に勾留請求するかどうかを決めなければなりません。勾留請求がなされると、裁判官が10日間の勾留をするかどうかを決定します。
勾留は原則10日間ですが、検察官はさらに最大10日間の勾留延長の請求をすることができます。
つまり、逮捕から合計23日間の間に、検察官は、逮捕した容疑について起訴するかどうかを決めなければならないのです。
しかし、証拠が複雑であったりして検察官が最終処分(起訴するか不起訴にするか)を決められない場合に、処分保留で釈放という措置をとることがあるのです。

ここで、処分保留釈放にも2つのパターンがあります。
一つは文字通り釈放して、逮捕された人が外に解放されるパターンです。
もう一つは、最初に逮捕した罪では処分保留釈放という形を取るけれども、別件で再逮捕するという場合があります。この場合、さらに2つめの罪について最大23日間の拘束をすることが可能となります。そして、2つめの23日の勾留満期に、最初の罪と併せて起訴することもあれば、2つとも不起訴になる場合、2つ目の罪もも処分保留釈放になり3つ目の罪で再逮捕、などの場合があります。

処分保留で釈放され、社会に戻った場合においても、最終処分はまだ出ていませんので、警察、検察は捜査を続けます。
場合によって任意の取調べを要請される場合もあります。
捜査を遂げた上で、検察官は最終処分を決めることになりますが、割合としては再逮捕なく処分保留釈放となった場合には不起訴となることが多いですが、処分保留となった後に起訴されるケースもないわけではありません。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也