刑事弁護ブログ

2024.01.21 刑事弁護コラム

調書異議とは

刑事裁判では公判と呼ばれる裁判が開かれると、「公判調書」という手続調書が書記官によって作成されます。
公判調書には出席者、その公判で行った証拠調べの内容等が記録されます。
証人尋問を行うと尋問調書が逐語調で作成されますが、それも公判調書の一体のものとして記録に綴られます。

刑事訴訟法では、いかのような規定があります。
ここで、
第51条
1 検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てることができる。異議の申立があったときは、その旨を調書に記載しなければならない。
2 前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後14日以内にこれをしなければならない。ただし、第48条第3項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理ができた日から14日以内にこれをすることができる。

第52条
公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによってこれを証明することができる。

公判でどのような発言があったか、どのような証拠調べが行われたか、尋問ではどのようなやりとりがあったか、については、公判調書の記載によって判断される、ことになります。
上訴審が、一審でどのようなことがあったかを審査する際にも公判調書の記載の有無がすべてということです。
本当は記載のないやりとりがあった、と主張してみても意味が無い、ということです。

従って、弁護人は、公判調書にどのように記録されるかについてもきちんとチェックする必要があります。そしてその記載に問題があれば、異議を申し立てなければなりません。
手続調書を第1審判決が出た後、控訴しようという段階になって謄写して、重要な事実が記録されていなかった、ことがわかっても時すでに遅いのです。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也