刑事弁護ブログ

2022.11.28 刑事弁護コラム

「勾留」と「拘留」

刑事事件に関する「こうりゅう」は2つあります。

「拘留」は、刑の種類の1つであり、1日以上、30日未満の期間、刑事施設に身柄を拘束されるというものです(刑法9条、16条)。

刑法

(刑の種類)

第9条 死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

(拘留)
第16条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。

 

刑事施設とは、「刑務所」や「拘置所」、「留置場」です。

これらの施設に1日~29日間入り、自由を奪われるという刑罰の一種なのです。

 

これに対し、「勾留」とは、逮捕された被疑者・被告人の逃亡や証拠隠蔽を防ぐために、刑事施設に留置して身柄を拘束することです。

一般的に、刑事事件に関して接する「こうりゅう」は、後者の「勾留」です。

というのも、刑罰としての「拘留」は年間数件程度しか使われていないからです。

逮捕された場合も、逮捕の効果として身体拘束ができるのは48時間までです。この48時間以内に、警察官が検察官に事件を送り、さらに24時間以内に検察官が勾留を求めた場合、裁判官が勾留するか否かを判断する、というものです。

この場合の「勾留」はそれ自体は刑罰ではありません。

東京ディフェンダー法律事務所

弁護士 久保 有希子