刑事弁護ブログ

2022.01.11 刑事弁護コラム

弁護人の行う冒頭陳述

刑事裁判の第一審において,証拠調べが始まるにあたって,まず検察官が冒頭陳述を行うされています。この冒頭陳述は,法律の規定では,「証拠により証明すべき事実を明らかに」するものとされています(刑事訴訟法296条)。
裁判員裁判の他,公判前整理手続に付された事件については,弁護側も検察官の冒頭陳述が行われた後に引き続いて,「証拠により証明すべき事実」「その他の事実上及び法律上の主張」を明らかにして冒頭陳述を行わなければならないとされています(刑事訴訟法316条の30)。
公判前整理手続に付せられていない事件であっても,弁護側が冒頭陳述を行うことも認められます。

こうした弁護人の冒頭陳述は,法律の規定上は,「証拠により証明すべき事実」「事実上及び法律上の主張」を明らかにするとされています。
しかし,冒頭陳述には,単に事実や主張を明らかにする以上に役割があります。
冒頭陳述を適切に行うことで,これを聞いた裁判官,裁判員に検察官が主張立証しようとする事件内容とは別の見方やイメージを与えることができます。
それにより,裁判官や裁判員に,その後に見る証拠や証人,被告人の供述内容を弁護人が主張する内容のとおりに理解してもらうようになるものです。

例えば,検察官が,冒頭陳述において,ご本人が同じ犯行を繰り返していて,身勝手で反省していないということを主張したとします。
これに対して,弁護人が,冒頭陳述において,ご本人が高齢となって衰えて頼る身内もいなかったという事情を明らかにする。
こうした冒頭陳述で,同じ犯行を繰り返しているという点について検察官の主張立証とは別の見方やイメージを与えて,ご本人を強く責められず,ご本人の反省だけではなく他からの助けが必要であったということが理解してもらえるものといえます。
これから取り調べられる証拠や証言内容を弁護人の主張するとおりに理解してもらえるよう,冒頭陳述を適切に行うことが重要といえます。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾