刑事弁護ブログ

2021.12.14 刑事弁護コラム

認めれば早く終わる、は本当?

捜査機関は取調べで、しきりに、「認めれば早く終わるぞ」と言ってきます。
 しかし、本当でしょうか?
 こういうことを言ってくるのは、容疑者が容疑を否認している事件です。捜査機関は、否認している容疑者には、認めたほうがいい、とあの手この手で詰め寄ってきます。しかし、このような話は、無実の容疑者を処罰しかねない、危険なやり方です。
 捜査機関がプレッシャーをかけてくる事件というのは、実は、容疑者の自白がないと逮捕できなかったり、容疑者の自白がないと起訴できなかったりする事件が相当数あります。当然ながら、自白がなくても証拠が固くて立件できるならば、取調べでプレッシャーをかける必要がないからです。
 ですから、認めれば早く終わる、のではなく、やっていないことはきちんと否定し続けたほうが早く終わる可能性も十分あるのです。
 捜査機関のプレッシャーは、むしろ、証拠が薄い事件で無実の可能性も十分あるにも関わらず、冤罪を生む温床になってしまう取調べの方法なのです。ですが、孤独に取調べを受けることになれば、無実の人もたちまちに嘘の自白をしてしまいます。弁護人の手厚い援助が求められます。

弁護士山本衛