刑事弁護ブログ

2021.11.30 刑事弁護コラム

第一審有罪判決に控訴 第1回公判の手続

刑事裁判の控訴審は,一から刑事裁判をやり直して公判で証拠を調べ,証人尋問や被告人質問をやり直すものではありません。
第一審で既に取調べられた証拠や証言を前提として,第一審判決に控訴理由があって見直されるべきが判断されるものです。

第一審の有罪判決に控訴した場合,控訴審の第1回公判が始まる前の弁護活動が重要です。
第1回公判前の期限内に説得的な控訴理由を記載した控訴趣意書を作成して提出する必要があります。
控訴が認められるようするために,控訴審で新たに証拠が取り調べられるよう事実取調べ請求も第1回公判前に行っておくべきです。

控訴審の第1回公判の手続自体は,多くが30分程度の短時間の枠で行われて第1回公判で結審し,次回判決の言い渡しとなります。
裁判を受けている被告人自身,出廷する権利はありますが義務はなく,出廷しなくても手続は行われます。
第1回公判に出廷する場合,裁判官から名前や生年月日等の確認はされますが,第一審の時のように起訴状の朗読や黙秘権の告知はなされません。
そして,すでに提出した控訴趣意書を書面記載のとおり陳述するとし,検察官は答弁書を提出せずに,口頭で控訴に理由はなく控訴棄却が相当との陳述を行うことが多いです。
そして,裁判所は,当事者双方の事実取調べ請求について証拠の採否を行い,採用した場合は採用した証拠の取調べを行って結審するのが通常です。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾