刑事弁護ブログ

2019.12.25 刑事弁護コラム

共犯者の弁護人との情報交換

共犯者がいるとされる事案では,共犯者にも弁護人がついています。共犯者の弁護人と,弁護士同士で適切な情報交換を行うことは,時として非常に有益です。

特に,証拠書類を一切見ることができず,情報量の少ない捜査段階では,捜査の進捗や処分の方向性を予想するのに役立ちます。例えば共犯者の取調べでの供述状況(認めているのか,否認しているのか,供述しているのか,黙秘しているのか等),あるは取調べでそのような証拠について言及されたか,という点に関する情報を得れば,捜査官がどこまで事案の内容を理解しているか,どのような点に特に注目しているかを予想しやすくなります。もちろん,守秘義務の関係で,取調べの状況の全てについて明かすことはできませんが,依頼者の利益となる情報交換については,積極的に行われるべきです。
また,被害者との示談を試みる場合も,共犯者弁護人との共働は重要です。弁護人が別々に示談を申し入れ,個別に話し合いをしなければならないとしたら,被害者の負担は大きなものになります。示談の申し入れや,示談の内容の調整について,共犯者弁護人と足並みをそろえて行うことで,被害者側の負担を軽減し,早期の示談が可能になることがあります。

弁護人は,依頼者の利益を最大限に実現する義務を負います。依頼者にとってベストな選択をするために,情報収集は欠かせません。依頼者の利益を図ることと,共犯者の弁護人と連絡を取り合い,情報交換をすることは,決して矛盾するものではないのです。

東京ディフェンダー法律事務所  赤木竜太郎