刑事弁護ブログ

2019.09.18 刑事弁護コラム

「ツールナイフ」を持っていたら犯罪になるか?

キャンプや釣りなどが趣味の方なら,「十徳ナイフ」「ツールナイフ」などと呼ばれるナイフを持っていることは,それほど珍しくないかもしれません。実際に,アウトドアショップなどでも,これらのナイフを容易に入手することができます。
ただ,このようなナイフの所持が状況によっては犯罪にあたる場合がありますので,注意が必要です。
銃砲刀剣類所持等取締法(「銃刀法」)第22条は、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。」と定めています(罰則は,二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金)。
「ツールナイフ」の多くは,上記の「折りたたみ式のナイフ」にあたることが多く,刃の長さが8センチを超えるものを所持していた場合には,「正当な理由」の存在が認められない限り,銃刀法22条に違反する犯罪行為にあたることになります。

また,銃刀法違反に該当する長さの刃物でなくても,犯罪になる場合があるため,さらに,注意が必要です。軽犯罪法第1条2号は、「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者は、拘留又は科料に処する」と定めています。

捜査機関が,上記の法律を「濫用」的に適用して,市民が自由に趣味を楽しむことを委縮させるような取締りや摘発をすることは認められるべきではないというのが前提ですが,ツールナイフの購入や利用について不安を感じた場合は,一度弁護士に相談することをお勧めします。

法律事務所シリウス 虫本